第五章

5−1

いちどタルトが流れ着いた場所に行ってみようということになり3匹は朝早く準備をし出かけました(歩いているのは実際はコックスだけですがね)
川から流れてきたのなら逆方向に向かえばタルトの元いたところに戻れるだろうと思ったからです。

朝の森は美しく、森のオーケストラである鳥や虫たちも楽しそうに生命の歌を奏でていました。カエルは嬉しくなりタルトの頭の上から指揮をとっていました。タルトもつられて同じように指揮を取る真似をしています。

コックスもなんだか楽しくなり思わず鼻歌が出てしまいました。それを聞きカエルが言いました。
「お、コックス元気が出てきたみたいじゃないか?」
「ふふ、まあね、悩んでたって仕方がないよ、今は今やるべきことをやるだけさ」

しばらく、いやだいぶ歩くと3匹はタルトが流れ着いた川辺に到着しました。
「おそらくこの木に引っかかって助かったんじゃないかな。危ないところだった、ここより先には全てを飲み込む大きな滝があるんだ。もしそのまま流されていたら・・・」
タルトはそんな大きな滝ならここにきた記念に見てみたかったと思いました。

「とにかく流れは右から左だ、だから俺たちは左から右に行けば良いってわけさ。イージーだ、イージーだ」カエルはなんだか興奮しています。
コックスにはカエルの気持ちがなんだかよくわかりました。しんぷるな答えはそれだけで元気にさせるものなのです。

3匹がしばらく歩き始めると遠くからコックスを呼ぶ声が聞こえました。
「おーい、おーい」1匹の赤いスカーフを巻いた四角い顔のオウムが息も切れ切れに飛んできました。
「やっと見つけたぞコックス」
「なんだお前か」
「なんだじゃないだろう、お前のことでこっちは大変なんだぞ!」オウムは怒りながら言いました。
「何が大変なんだよ」カエルが聞きます?
「なんだ、このカエルは偉そうに、横から口を挟みやがって俺はレッドスカーフの一員なんだぞ」オウムは首に巻いた赤いスカーフをカエルに見えやすいように首を動かしてやりました。

タルトは自分のスカーフを見て自分はそんなに偉いのかと思いました。

カエルはムシャクシャして言ってやりました「何がレッドスカーフだ、布に赤い木の液を染み込ませただけじゃねえか、なんでそんなの首に巻いてたら俺よりお前が偉いことになるんだ?」

タルトは確かにそうだと思いスカーフから手を離しました。

つづく(不定期更新)

 

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