2ー2

地面に転がったタルトの目の前には大きくてたくましい1匹の虎が頭と胴体の分かれた蛇を睨んでいます。驚いたことに蛇は(頭の方ですが)バタバタと身体をうねらせて森の茂みの奥に逃げて行きました。残された八股部分はもう動かなくなっていました。

「危ないところだったね」
緊張が解けた虎は大きくため息をし額の汗を拭いながら低く優しい声で言いました。

その虎は驚くことに言葉を喋りました。タルトはトニーとの生活で話しの内容はなんとなくわかりますが自分で話すことは骨格の問題でうまく話せません。

「本当に危ないところだった、あいつの消化液は強力だからきっと骨だって残らないところだっったぜ、ところで君見かけない顔だね?」
【当たり前わん、お前だって見かけない虎わん】とタルトは思いました。
「この島は広いからね迷ってしまったのかな?どこの所属だい?」

タルトには何のことかわかりません
「こいつはショックで記憶を失っているのかもしれない、そのスカーフの裏に認識コードが書いてあるはずだから見せてご覧、ぼくが連絡をしてあげる」と虎がスカーフを覗き込みました。
その時、大きな虎の首にも赤いスカーフが巻かれていることにタルトは気が付きました。

「なになに、あれおかしいぞ、スプリングウェル シャロウリバー2丁目?聞いたこともない組織名だ?」そこには優しいトニーがマジックで描いてくれた自宅の住所が書いてありました「なになに・・・おっ貴重な情報だぞ、君の名前はタルトって言うんだね」

タルトは虎が何で名前を知っているんだろうと不思議に思いましたがもう忘れてしましまいました。

「僕の名前はコックス、ここらへんの責任者をしているんだ。安心して。君をちゃんと部隊に送り届けてあげるからね。何てったって同じレッドスカーフなんだから」

コックスはウィンクをすると同時に、タルトをすくい上げ広い背中に乗せて「しっかり捕まっているんだよ」と言うとたくましい四肢で地面を蹴り物凄いスピードで森の中を駆けていきました。

それは駆けるというよりもまるで弾丸のようでした。周りの景色は瞬く間に変わり逆にコックスにしっがみついている自分がスローモーションになっているような錯覚を感じてしまいます。巨木の空洞トンネルでは天井を駆け、断崖絶壁ではまるで向こう岸まで透明の通路があるかのように空を走りました。

背中のタルトに「長老のところへ行こう」と話しかけましたがその声は一瞬で遠くへ飛んでいってしまいただタルトは流れ去る景色を見つめていました。

 

第二章終わり

 

つづく

 

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